レバレッジをかける 良い借金

「1億円貯める近道は、借金してレバレッジをかけること」などと書くと、「???」と思われる方も多いかもしれません。「借金なんかしたら、利子を取られて損をするだけじゃないか?」と。

もちろん、クレジットカードで買い物をしてリボルビング払いにするとか、ブランド品を買うために消費者金融を利用するとか、マンションを購入するために住宅ローンを借りるとか、このような借金は利子の分だけ出て行くお金が増えるだけの借金です。これらは言わば、消費活動に使うお金を借りるものです。そんなことをしても、ものに囲まれている自分が豊かであると錯覚させてくれることはあっても、資産を増やしてくれることはありません。

借金しても黒字

一方企業の多くは、銀行から借入れをしたり、社債を発行したりと、多額の借金をして設備投資などにあて、そして黒字を出しています。多額の借金を抱えていながら、利子を払ってもまだ黒字。これが理想的な借金です。

多くの企業では、自己資金だけでは投資に必要な資金を賄うことができません。なぜなら、その投資が利益を生むのは先のことで、資金が必要なのは、設備や原材料に投資する、今現在だからです。資金を調達するあてがなければ、良いアイデア、良い製品があっても、事業化することができません。

「レバレッジをかける」とは?

ポイントは、「利子を払っても黒字になるような事業のためにお金を借りる」ことです。自己資金だけでは不可能な、大きな投資を行うことができることを、梃子を使って重いものを動かすことに喩えて、「レバレッジをかける」「レバレッジを利かす」と言います。レバレッジは英語で梃子のことです。

ロバート・キヨサキの「金持ち父さん貧乏父さん」で紹介されているのは不動産投資で、この本が出たおかげで、不動産投資ブームが起きたくらいです。

不動産は高い買い物です。自己資金だけでは意味のある投資はなかなかできません。マンション1室買うにも数百万円から。1棟ならば数千万円からが必要で、数億円という物件もザラです。もちろん1室200万円のマンションならば、多くの人は手持ち資金で購入することができるでしょう。でも、もしこのマンションを賃貸に出した時の利回りが10%であったとしても、年に入ってくるのは20万円。月にすると2万円に足らず、お小遣い程度にしかなりません。

レバレッジをかけて不動産を手に入れる

逆に不動産賃貸だけで豊かに生活することを考え、月に50万円が必要としましょう。年間600万円の賃貸収入が期待できないといけません。10%の収益物件だとすると、最低でも6千万円の物件でない限りこのレベルの収入は確保できません。実際には、古くなればリフォームが、退去者が出たら募集広告や手数料が必要になりますから、1億円くらいの物件でなければ、平均月50万円の収入を不動産賃貸から得ることは困難です。

そして、もし手元にぽんと払える1億円があるのであれば、あなたは既にこのサイトの情報を読む必要はなく、卒業しているわけです。

手元に1億円ない人は?もちろんどこからか資金を調達しなくてはなりません。そして、その資金の調達元は借入れ、つまり借金になります。自己資金だけでは不足しますから、借金をしてレバレッジをかける、そして不動産を手に入れる、という寸法です。

レバレッジ(借金)とリスク

不動産の入手や経営のノウハウに興味のある方は、サラリーマンで大家さんをする本が相当数出ていますから、一冊目を通されると良いでしょう。以下はレバレッジの話を継続します。

FXはリスキー

FX投資(外貨為替証拠金取引)や株式取引、先物取引などにおいても、レバレッジという言葉が聞かれます。これらは、借金をして自分の手持ち資金の数倍から、場合によっては数十倍の金額の取引を行うものです。

こうした取引が成立するトリックは、自分が手にする利益、あるいは自分が蒙る損失は、実際の取引の差額である、という点です。

自分で1ドルを100円で購入し、それが105円になったとき売っても、5円の儲けにしかなりません。FXなどの取引は基本的に「買い」と「売り」の差額が利益になります。ですから、利益の総額を大きくしようと思ったら、一番簡単なのは取引の総額を大きくすることなのです。1万ドルを100万円で購入しておけば、5円の値動きで得られる利益は5万円になります。

100万円借りて、返すのは100万円。105万円になれば5万円の手取りで、運悪く95万円になれば5万円の支払い。もちろん借りた総額が大きくなれば利益・損失の可能性も大きくなりますが、実際にやり取りがあるのはこの差額の部分だけです。ですから、比較的気楽にやれてしまうわけです。不動産投資で1億円借りたら、本当に手元に一旦1億円が来ますし、最終的には自分で1億円+利子を工面して返済する必要がありますから、気楽さという点においてはFX投資のほうが不動産投資よりも随分気楽に感じられます。

しかし、FX投資はリスクを伴う投資です。明日ドルが高くなるか安くなるか?統計的には2分の1の確率となります。どのようなデータを使っても明日の相場は正確には予測できません。丁半博打と同じですね。では丁半博打で一番儲かるのは誰か?ご存知、胴元です。FX投資もまったく同じこと。儲かるのはFXを提供する企業で、お客さんの方は儲けた人、損した人の損得を通算すれば、必ず手数料分だけマイナスになります。

博打にレバレッジをかけてどうする?

もちろん、世の中にはFX投資で大儲けする人もいます。そんな人は本を出します。一方、大損する人もいます。そんな人の話はあまり表には出てきません。上下する相場の中での売り買いですから、常識的に考えれば損をする人、得をする人は拮抗しているはずです。この状態で手数料、言わば「てら銭」を払い続けるわけですから、数学的に計算されるFX取引の期待値は常にマイナスです。

FX投資の実態は、借金をして丁半博打をしているようなものです。たまたま運の良い人は(多くの人は実力だと勘違いしていますが)大きな利益を出し、大半の人は長期的には損失を蒙ります。ごく少数の大成功者が出ることは、確率的に説明できるものであって、ノウハウによるものだとは考えないほうが良いでしょう。

確実性の高い投資にレバレッジをかける

ゲームを楽しむことが目的ならば、FX投資のようなものも良いでしょう。しかし、着実に1億円を目指すのであれば、レバレッジをかける対象は丁半博打ではなく、もっとリスクが低く、結果が利益を生み出すことが確実視できるものを対象とすべきです。

不動産投資には限りませんが、リスクが低い投資対象を見つけ、そこにレバレッジをかけるのが王道でしょう。


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